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特別区Ⅰ類 論文の傾向と対策

共通過去問で問われてきた住民に身近な課題と、国・東京都・23区共通資料が示す現在の変化から、優先テーマを整理します。

この記事の役割

この記事は「出題傾向から、何を優先して準備するか」を決めるための記事です。試験形式、時間・字数配分、序論から結論までの書き方を先に知りたい方は、特別区Ⅰ類 論文試験の概要と書き方をご覧ください。

読み終えたときに、次の3つが分かるようにしています。

  • 特別区の論文が、都庁や国家一般職とどう違うのか
  • どの分野から優先して準備すればよいのか
  • 2題のうち、どちらを選ぶ準備をすればよいのか
この記事の内容

    試験の形式

    令和8年度の特別区Ⅰ類採用試験(春試験)では、事務(一般事務)と事務(ICT)の論文は次の形式です。

    項目内容
    出題数2題中1題を選択
    解答時間1時間20分(80分)
    字数1,000字以上1,500字程度
    設問の構造単一設問(小問に分かれていない)
    資料なし
    問題冊子持ち帰り可

    課題文は背景を示した後、「特別区職員としてどのように取り組むべきか」という形で考えを求めます。この「特別区職員として」という条件が、一般的な社会評論と行政職の答案を分けます。

    ※ 形式と令和8年度の出題は、特別区人事委員会の試験案内および公表論文課題で確認しています。受験年度の案内も必ず確認してください。

    都庁・国家一般職との違い

    特別区Ⅰ類東京都Ⅰ類B国家一般職(行政)
    時間80分90分60分
    字数1,000〜1,500字程度1,000〜1,500字程度指定なし
    出題数2題中1題選択1題必答1題必答
    設問単一設問課題200字+取組資料を踏まえた複数の問い
    資料なしありあり

    特別区の特徴は、資料がないことと2題から選べることです。東京都Ⅰ類Bの段落構成を詳しく知りたい方は、東京都Ⅰ類B 教養論文の書き方で比較できます。

    特別区は「準備が報われる」試験です

    論文対策で最初に切り分けたいのは、どこまで事前に用意でき、どこからが本番でしかできないのかです。答案は、おおむね次の要素で構成されます。

    1. どの分野の話かを判断する
    2. 現状を述べる
    3. それがなぜ問題なのかを述べる
    4. 原因を分解する
    5. 原因ごとに取組を挙げる

    このうち3〜5は、分野ごとに事前に準備できます。問題は1と2です。

    都庁では2つ、特別区では1つ

    東京都Ⅰ類Bには資料が付きます。受験者は資料から分野を判断し、数値や傾向を自分の言葉に置き換えて現状を書きます。特別区には資料がありません。代わりに、課題文の前半が背景を説明します。

    作業東京都Ⅰ類B特別区Ⅰ類
    分野の判断資料から読み取る課題文に示される
    現状の記述資料の数値を言い換える課題文の背景を材料にできる
    弊害・原因・取組事前に準備できる事前に準備できる

    本番で初めて行う作業が、都庁では「資料から分野を判断する」「資料から現状を作る」の2つあるのに対し、特別区では分野と背景が課題文に示されます。事前に用意した原因と取組を答案へつなげやすい試験だといえます。

    2題から選べることの意味

    1題必答なら、準備した分野が出るかどうかは一度きりです。特別区は2題あるため、そのどちらかに準備した材料を使えればよいことになります。すべての分野を薄く広く暗記するより、一定数の分野を深く準備する戦略が成立しやすくなります。

    ただし、①番と②番は同じ性格の問題が2つ並んでいるわけではありません。過去問を分けて集計すると、違いが見えます。

    出題分野の頻度|10年以上の過去問を数えた結果

    2002年度から2026年度までの50問を、当サイトで13分野に分類しました。複数分野にまたがる問題も、中心となる問いを1つ選んで数えています。

    順位分野件数構成比累積
    1行政運営・協働・自治1020.0%20.0%
    2まちづくり・都市基盤612.0%32.0%
    3こども・教育612.0%44.0%
    4デジタル化・情報発信510.0%54.0%
    5防災・危機管理48.0%62.0%
    6環境・資源循環36.0%68.0%
    7防犯・安全36.0%74.0%
    8産業・雇用・働き方36.0%80.0%
    9高齢・福祉36.0%86.0%
    10多様性・共生24.0%90.0%
    11地域コミュニティ24.0%94.0%
    12観光・シティプロモーション24.0%98.0%
    13人材・担い手12.0%100.0%

    上位6分野で全体の68%を占めます。まず上位分野から原因と取組を準備し、その後に自分の得意分野を追加するのが合理的です。

    1位が「行政運営・協働」であることの意味

    行政運営・協働は10件で、2位の6件を大きく上回りました。住民との協働、区政運営、説明責任、限られた行政資源、行政情報の発信、デジタル化、団体との連携など、個別政策ではなく「行政はどう仕事を進めるか」を問う問題が繰り返されています。

    都庁の政策分野対策だけでは、この型への準備が薄くなりがちです。特別区用に、住民との協働、関係者調整、行政資源の配分、情報発信といった材料を持つ必要があります。

    2題のうち、どちらを選ぶか

    10年以上にわたる50問を①番と②番に分けて集計すると、問題の置かれ方に明確な差がありました。

    ①番の問題②番の問題
    「行政・区政のあり方」を問う型14 / 25(56%)0 / 25(0%)

    当サイトの分類では、②番に「行政・区政のあり方」型が置かれた年はありませんでした。さらに2018〜2026年度の9年に絞ると、①番は9回中7回がこの型です。一方、②番は防犯、防災、いじめ・不登校、人材活用、地域コミュニティなど、個別の政策分野が続きます。

    ①番向けと②番向けに分けて準備する

    • ①番向け:行政運営・協働を1〜2本用意する
    • ②番向け:まちづくり、こども・教育、デジタル化、防災など上位の個別分野を2〜3本用意する

    この分け方なら、同じ種類の答案を2題分用意するのではなく、性格の違う2枠へ材料を置けます。ただし、これは傾向であって出題の保証ではありません。①番に個別政策が出た年もあります。

    当日の選択基準は、好きなテーマかではなく、原因と具体的な取組を3組書けるかです。

    時事は「前年の秋から当年の春」を追う

    論文対策で迷いやすいのが、時事をどこまで追うかです。特別区では、課題文が制度や社会状況の時点を示すことがあります。

    年度課題文が挙げた時事出来事の時点
    2025年度①東京都カスタマーハラスメント防止条例の施行2025年4月
    2025年度②能登半島地震の災害関連死2024年1月以降
    2026年度②刑法犯認知件数の増加と体感治安2024年10月調査

    東京都カスタマーハラスメント防止条例は2025年4月1日に施行され、同年度の第一次試験は4月20日に行われました。施行から19日後の出題です。ニュースを漫然と追うより、前年の秋から当年の春に施行される国の法令や東京都の条例を確認するほうが候補を絞れます。

    都庁と比べると、追い方が違う

    東京都Ⅰ類Bでは資料の出典日から話題の時期を判断します。当サイトで都庁の過去問に使われた新聞資料の日付を調べたところ、試験日までの間隔はおおむね3.5か月から9か月に分散していました。特別区では課題文に時点や制度名が示されるため、現状の説明を作りやすいのが違いです。

    ただし、制度名を暗記するだけでは答案になりません。新制度が扱う課題について、住民、地域の担い手、行政の仕組みという3方向で原因と取組を考えておく必要があります。

    NEXT EXAM FORECAST

    特別区Ⅰ類で準備したい3つの予想テーマ

    特別区では区固有の計画名より、住民に近い課題を区政の立場でどう解決するかが重要です。共通過去問と23区共通の課題から、次の3テーマを優先します。

    予想1・重点

    生成AIと対面支援を両立する区政

    行政DX・住民サービス

    業務効率化だけでなく、正確性、説明責任、個人情報、デジタル利用が難しい区民への支援を一体で考えます。

    生成AI対面支援説明責任
    予想2

    外国人住民が地域の一員として暮らすまち

    多文化共生・地域参加

    言語、教育、医療、防災の情報格差を減らし、町会・地域活動への参加と相互理解を進めます。

    外国人住民多言語地域参加
    予想3

    空き家・老朽マンションから地域の安全を守る

    住宅・防災・地域コミュニティ

    空き家の所有者対応に加え、老朽マンションの管理組合支援、修繕・再生、防災、福祉をつなぎ、予防段階から対応します。

    空き家老朽マンション地域安全
    共通3テーマと異なる理由特別区は地方上級・県庁とは別の試験カテゴリです。都市部の住民接点、都区制度、外国人住民、住宅ストックなどの条件を優先し、専用の3問を用意しています。
    特別区専用の3つの予想問題を実践する

    契約・ログイン後、問題一覧の「特別区Ⅰ類」から令和9年度予想問題を選べます。

    上記は公式発表ではなく、公開過去問と公式・共同資料をもとにした当サイトの分析です。

    予想テーマの根拠を確認する

    国・東京都の上位方針、特別区長会・特別区協議会の調査や統計を使い、区が担う役割を具体化します。

    💡次に読む特別区のテーマ別根拠資料→
    予想問題を解く →