【保存版】東京都Ⅰ類B 教養論文の書き方|段落ごとに何を何字書くか
東京都Ⅰ類Bの教養論文は、90分で1,000字以上1,500字程度を書く試験です。時間も字数も、その場で構成を考える余裕があるようには設定されていません。逆に言えば、構成をあらかじめ決めておけば、当日やることは大きく減らせます。この記事では、設問(1)から結論まで、どの段落に何を何字書くかを分解します。
1. 東京都Ⅰ類Bの論文はどういう試験か
まず形式を押さえます。東京都Ⅰ類B採用試験(行政・一般方式)の教養論文は、試験時間90分、字数は1,000字以上1,500字程度です。テーマだけがぽんと出るのではなく、グラフや統計などの資料が添えられ、それを踏まえて論じる資料型の出題になっています。
設問は2つに分かれています。おおむね次の形です。
| 設問 | 問われること | 分量のめやす |
|---|---|---|
| 設問(1) | 資料から読み取れる課題は何か | 200字程度 |
| 設問(2) | その課題に対して、東京都はどう取り組むべきか | 残りすべて(1,000字前後) |
この構造には、対策上とても重要な意味があります。設問(2)が答案の大部分を占めるということです。つまり、点数のほとんどは「都の取組を、どれだけ筋の通った形で書けるか」で決まります。資料の読み取りは入口にすぎません。
字数の下限に注意
1,000字という下限は、目安ではなく条件として扱ってください。大きく下回った答案は採点上不利になると案内されることがあります。時間切れで最後まで書き切れないのが、この試験でいちばん多い失敗です。字数を先に割り振っておくことが、そのまま対策になります。
※ 実施要領は年度によって変わることがあります。字数・時間・設問の形式は、必ず東京都職員採用の公式試験案内で最新のものを確認してください。
2. 当日その場で書くのは、冒頭の1段落だけにする
ここがこの記事のいちばん伝えたいところです。答案を段落に分けて眺めると、当日でなければ書けない部分は、実はごく一部しかありません。
資料は当日にならないと分かりません。だから、資料を読んで課題を1つに絞り、それを冒頭にまとめる作業は、その場でやるしかない。けれども、そこから先の「取組を3つ挙げて論じる」部分は、テーマの分野さえ当たっていれば事前に用意できます。結論に至っては、テーマが何であっても使える型を1つ持っておけば足ります。
字数で数えてみます。全体を1,300字とすると、当日その場で組み立てる段落1はおよそ200字。残りの1,100字、割合にして約85%は、当日ゼロから考える必要がない部分です。設問(1)の200字も、段落1と同じ材料から書けます。だから体感としては「9割は先に用意できる」ということになります。
論文の準備とは、当日その場で考える量を減らしておく作業のことです。
3. 答案全体の設計図は「現状 → 弊害 → 原因 → 施策」
では、事前に何を用意しておくのか。テーマごとに次の4つを埋めておきます。
| 項目 | 書く内容 | 答案での置き場所 |
|---|---|---|
| 現状 | 資料から読み取れる事実。数字を含む記述 | 設問(1)・段落1 |
| 弊害 | それを放置すると何が起きるか | 設問(1)・段落1 |
| 原因 | なぜそうなっているのか(3つに分ける) | 段落2・3・4の前半 |
| 施策 | 原因それぞれに対応する都の取組 | 段落2・3・4の後半 |
この4つが横一列に並んだものが、そのまま論文1本の骨格になります。左から右へ読むだけで答案の順番になっているので、本番では思い出したものを書き写していく感覚に近づきます。
逆に言うと、多くの答案がつまずくのは「原因」を飛ばしているからです。現状を書いて、いきなり施策に飛ぶ。すると施策が思いつきの羅列になり、なぜその取組なのかを説明できません。原因を挟むと、施策は「その原因を取り除くもの」として自動的に決まります。
4. 先に字数を割り振ってしまう
構成が決まったら、次は字数です。ここは考えるところではなく、割り算するところです。
設問(2)の分量を1,150字と置きます。結論を130字、段落1(現状の把握と3点の提示)を200字とすると、取組3つに使えるのは残り820字。3で割ると、1つの取組あたり約270字です。全体を1,500字に寄せるなら1取組390字まで伸びます。
字数配分のめやす
設問(1) 課題 …………………… 200字程度
段落1 現状の把握+3点の提示 …… 200字前後
段落2〜4 取組①②③ ……………… 各270〜390字(中心は320字)
段落5 結論 ……………………… 130字前後
この数字を覚えておく意味は2つあります。1つは、本番で時間配分が読めるようになること。もう1つは、練習の単位が決まることです。1つの取組は300字前後。つまり普段の練習でも、原因と施策のセットを300字で書けるようにしておけば、それがそのまま本番の1段落になります。
3つの取組の分量が大きく偏るのも、評価を落とす原因です。1つ目に熱が入って450字、3つ目が時間切れで120字、という答案は珍しくありません。3つはほぼ均等が原則です。
5. 設問(1):課題を200字程度でまとめる
設問(1)は、資料から課題を抽出して短くまとめる問題です。ここでやることは3つだけです。
- 資料の中で、最も大きく動いている数字を1つ選ぶ。全部の資料を使おうとしないでください。論点が散ります。
- その数字が示している状態を、一文で言い切る。これが「現状」です。
- 原因あるいは放置するとどうなるかを書く。これが「原因・弊害」です。ここまで書いて初めて「課題」になります。
「◯◯が増加している」で止まっている答案が非常に多いのですが、それは現状の記述であって課題ではありません。課題とは、放置できない理由まで含んだものです。「増えている。このままでは△△が成り立たなくなる。だから取り組む必要がある」——この形まで持っていってください。
200字という指定は短く感じますが、現状1文・弊害1文・課題の言い切り1文で、ちょうど収まります。
6. 段落1:現状の把握と、取り組むべき3点の提示
設問(2)の冒頭です。ここでこれから何を3つ書くのかを予告します。
採点する側の立場で考えると分かりやすいと思います。大量の答案を読む中で、冒頭に「これから3点述べる」と書いてあり、実際にその順番で3つ出てくる答案は、圧倒的に読みやすい。逆に、予告なしに施策が並ぶ答案は、何個目の話をしているのかを読み手が数えながら読むことになります。
書き方は難しくありません。設問(1)で書いた課題を1〜2文で受け直し、「都は次の3点に取り組むべきである」と宣言し、3つを短く並べる。それで200字です。
段落1の骨格
①課題の再提示(1〜2文)→ ②「都は次の3点に取り組むべきである」→ ③3点をそれぞれ20〜30字で列挙
7. 段落2〜4:原因1つに、施策1つを対応させる
ここが答案の中心で、字数の半分近くを占めます。そして、もっとも準備が効く場所でもあります。
原因を3つに割るための型
「原因を3つ挙げる」と言われても、その場では出てきません。そこで、あらかじめ3つの方向を決めておきます。どんなテーマでも、だいたいこの3つに割れます。
| 軸 | 問い | 施策の向かう先 |
|---|---|---|
| 意識 | 当事者本人に、知識・意識・時間・余裕が足りていないのでは? | 本人に届ける(周知、相談、情報提供) |
| 担い手 | 事業者・職場・地域団体の側に、人手・ノウハウ・採算が足りないのでは? | 供給側を支える(支援、育成、助成) |
| 仕組み | 制度・データ・連携・基盤が足りていないのでは? | 土台をつくる(連携、基準、基盤整備) |
この3つで考えると、施策が同じ方向に偏りません。「周知します」「啓発します」「意識を高めます」と3つとも意識の話になっている答案をよく見かけますが、それは3つ書いたように見えて1つしか書いていないのと同じです。
そして、原因と施策は1対1で対応させます。原因①に対して施策①、原因②に対して施策②。この対応がずれていると、たとえ施策そのものが立派でも「課題に正対していない」と評価されます。
1つの取組の書き方(約320字)
取組1つの骨格
①原因の指摘(2文・80字前後)……なぜそうなっているのかを1つに絞って言う
②取組の提示(1文・40字前後)……都が何をするのかを言い切る
③中身の具体化(3〜4文・160字前後)……誰に、何を、どうやって届けるのか
④効果(1文・40字前後)……その結果、原因がどう解消されるのか
差がつくのは③です。「支援を行う」「体制を整備する」で止まると、どの自治体のどのテーマにも当てはまる文章になってしまいます。対象を絞り、届け方まで書く。誰に向けた取組なのかが一文でも入っていると、具体性の評価は大きく変わります。
8. 段落5:結論は型で締める
結論は、毎回考え直す場所ではありません。130字前後の型を1つ用意しておけば、どのテーマでも使えます。
入れる要素は3つです。①述べた3点を一言でまとめ直す、②都という自治体がそれを担う理由に触れる、③今後に向けた一文で閉じる。新しい話は入れません。結論で新しい施策を出すと、構成が崩れたように見えます。
この型を持っておく実利は大きいです。本番で残り時間が少なくなったとき、結論だけは何も考えずに書けるという状態は、想像以上に効きます。時間切れで尻切れになった答案と、短くても最後まで型どおり閉じた答案では、後者のほうが確実に読み手の印象が良くなります。
9. 施策を書くときの制約:都の権限に収める
見落とされがちですが、評価に直結する観点です。東京都の論文なのだから、東京都が実際にできることを書かなければなりません。
| 内容 | |
|---|---|
| 都が打てる手 | 相談窓口の設置、伴走支援、区市町村への補助・上乗せ助成、都有施設や人員の配置、地域団体との協働、都独自の基準づくり、普及啓発、人材育成 |
| 国の仕事になる手 | 法律の制定・改正、税制の変更、社会保険や診療報酬などの公定価格、全国一律の基準の設定、資格制度の創設 |
「法改正により義務化する」「税制優遇を設ける」と書いた瞬間に、それは都の取組ではなくなります。同じ狙いを都の手段で書き直すなら、「都独自の助成で誘導する」「先進的な事業者を認定して広げる」といった形になります。
なお、「国に対して制度改正を働きかける」と書くこと自体は問題ありません。ただし3つの取組のうち2つも3つもがそれだと、都として何をするのかが空になります。使うとしても1つまでにしておくのが無難です。
10. 評価を落とす書き方と、その直し方
| よくある形 | なぜ弱いか | 直し方 |
|---|---|---|
| 現状から施策に飛ぶ | なぜその取組なのかが説明されていない | 間に原因を1文入れる |
| 取組が3つとも「周知・啓発」 | 1つの方向しか見ていない | 意識・担い手・仕組みで割り直す |
| 「意識を高めることが重要である」で終わる | 都が何をするのかが書かれていない | 主語を「都は」にして、動詞を具体的にする |
| 法改正・税制を都の取組として書く | 権限の範囲を外れている | 助成・認定・支援など都の手段に置き換える |
| 取組の分量が偏る | 論の重心が偏って見える | 1つ320字を目安に均す |
| 資料の数字を並べただけ | 読み取りが課題になっていない | 弊害まで書いて課題に仕上げる |
| 結論で新しい施策を出す | 構成が崩れる | 述べた3点のまとめに徹する |
11. どれくらい書けば仕上がるか
目安をはっきり書きます。東京都Ⅰ類Bの出題を分野に整理すると、子育て・少子化、高齢社会・地域包括ケア、防災・危機管理、行政のデジタル化、環境・脱炭素、多様性・共生社会。この範囲で「現状・弊害・原因・施策3つ」を書き切れる状態になっていれば、本番で初めて見るテーマが出ても、隣接する分野の材料で組み立てられます。6分野で3本書いても18本です。聞くと多く感じるかもしれませんが、1本あたりの新規作業は原因・施策3つです。週2〜3本のペースなら2か月弱で一周します。教養や専門の勉強と並行しても、無理な量ではありません。大事なのは、書いたものが手元に残っていることです。添削を受けてコメントだけが残り、自分が書いた施策はチャット履歴やノートの奥に消えていく——これが、論文が伸びない最大の理由だと考えています。書いた施策を分野ごとに並べて置いておけば、空いているところが次にやることを教えてくれます。