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論文の書き方と対策 ・ 02

【はじめに】特別区Ⅰ類 論文試験の概要と書き方|80分で書き切る基本

特別区Ⅰ類の教養論文は、80分で2つの課題から1つを選び、1,000字以上1,500字程度で論じる試験です。テーマを見てから考え始めると、課題選びと構成だけで時間を使ってしまいます。反対に、選び方・段落構成・特別区らしい取組の作り方を先に決めておけば、当日の作業は大きく減らせます。この記事では、試験の全体像と、答案を書き始める前の10分から結論までの基本手順を解説します。

2026年8月16日

この記事の役割

この記事は「試験概要と書き方の基本」を理解するための記事です。過去25年50問の出題頻度、傾向、優先して準備する分野を知りたい方は、特別区の論文試験|過去25年50問を分析した傾向と対策をご覧ください。

1. 特別区Ⅰ類の論文はどういう試験か

令和8年度の特別区職員Ⅰ類採用試験(春試験)では、事務(一般事務)と事務(ICT)の論文は1時間20分、2題中1題を選択し、1,000字以上1,500字程度で解答します。事務(ICT)も一般事務と同じ論文問題です。

項目令和8年度の形式
試験時間1時間20分(80分)
課題2題のうち1題を選択
字数1,000字以上1,500字程度
対象事務(一般事務)・事務(ICT)は共通問題

令和8年度は、地域の課題解決に向けた団体との連携と、安全・安心なまちづくりに向けた防犯対策という2つの方向から出題されました。どちらも単なる知識の説明ではなく、状況を踏まえ、特別区職員としてどう取り組むかを問う形です。

最初に覚える数字

80分・2題から1題・1,000〜1,500字。この3つです。字数の下限を割らず、最後まで書き切るには、本文を書き始める前に使える時間は10分程度しかありません。

※ 試験形式は年度によって変わる可能性があります。受験年度の試験案内を必ず確認してください。出典:令和8年度 特別区職員Ⅰ類採用試験(春試験)案内令和8年度 論文課題

2. 東京都Ⅰ類Bとの違いを先に押さえる

東京都Ⅰ類Bの資料型論文に慣れている人ほど、ここを混同しやすくなります。東京都では資料から課題を読み取る設問と、都の取組を論じる設問が分かれています。一方、特別区の論文は、課題文を踏まえて自分で問題を整理し、取組までを1本の文章に組み立てます。

東京都Ⅰ類B特別区Ⅰ類
出題の入口資料を読み取るテーマを示す課題文を読む
設問構造課題の把握と取組が分かれる問題提起から取組まで一続きで論じる
自治体の主語東京都特別区・特別区職員
当日の選択原則、提示された問題に解答2題から1題を選ぶ

ただし、答案の骨格は大きく変わりません。現状を述べ、課題が生じる原因を整理し、その原因に対応する取組を書く。違うのは、資料の数字が骨格を与えてくれるのではなく、自分で論点を絞る必要があることです。

特別区論文では、知っていることの多さより、1つの課題に話を絞れるかが重要です。

3. 2題のうち、書ける1題を3分で選ぶ

課題選択は「興味があるか」ではなく、取組を3つ具体的に書けるかで決めます。冒頭から順に丁寧に読み込み、なんとなく好みのテーマを選ぶと、途中で材料が切れることがあります。

問題冊子を開いたら、各課題について次の4点を余白に書き出してください。

  1. 問題の中心を15字程度で言えるか
  2. 原因または障壁を3つ挙げられるか
  3. 区ができる取組を3つ挙げられるか
  4. 各取組の対象者と実施方法まで言えるか

4点すべて埋まる課題を選びます。両方埋まる場合は、実際の区の仕事として書きやすいほうを選びます。反対に、知識はあっても「重要である」「周知すべきである」しか出てこない課題は避けます。

3分で作る選択メモ

課題A:原因 ○○/△△/□□ 取組 ○○支援/連携/基盤整備
課題B:原因 ○○/△△/思いつかない 取組 啓発/啓発/思いつかない
→ 課題Aを選ぶ

4. 答案の設計図は「課題 → 原因 → 取組3つ → 結論」

選んだ後は、いきなり本文を書きません。答案用紙とは別の場所に、次の6行だけを作ります。

段落書く内容役割
序論現状・問題・取組3つの予告答案の地図を示す
本論①原因① → 取組① → 効果住民・当事者への働きかけ
本論②原因② → 取組② → 効果地域の担い手への支援
本論③原因③ → 取組③ → 効果連携・制度・基盤づくり
結論3点のまとめと職員としての姿勢論を閉じる

本論は、意識・担い手・仕組みの3方向に分けると偏りにくくなります。たとえば防犯なら、住民への情報提供、地域団体の活動支援、警察や事業者との情報共有基盤という形です。3つとも啓発にすると、表現を変えても同じ取組を繰り返した答案になります。

重要なのは、原因と取組を1対1で対応させることです。「情報が届いていない」が原因なら、必要な人に届く情報提供を行う。「担い手が足りない」が原因なら、担い手の募集・育成・活動支援を行う。この対応があるだけで、取組の羅列が論理のある文章に変わります。

5. 80分の時間配分と字数配分

おすすめは、選択と構成に10分、執筆に60分、見直しに10分です。構成時間を惜しんで書き始めても、途中で順番を直したり、3つ目の取組を考えたりすれば、かえって時間を失います。

工程時間やること
課題選択3分原因と取組を3つ出せるか比較する
構成メモ7分序論・本論3段落・結論を6行で置く
執筆60分1分20〜25字を目安に書く
見直し10分字数、誤字、主語、番号、結論を確認する

全体は1,250〜1,350字を狙うと扱いやすくなります。1,000字ぎりぎりでは説明不足になりやすく、1,500字いっぱいを狙うと時間切れの危険が上がるからです。

1,300字で書く場合のめやす

序論 ……………………… 180〜220字
本論①②③ ………………… 各280〜300字
結論 ………………………… 140〜180字

1つ目だけ400字を超え、3つ目が150字で終わる答案は、内容以前に構成のバランスを崩します。本論3段落の行数をおおむね揃え、残り30分の時点で本論②まで、残り15分の時点で本論③まで終える位置を目安にしてください。

6. 序論:問題提起と3点の予告を書く

序論は、課題文の要約だけで終わらせません。書くのは、①背景・現状、②放置した場合の問題、③取り組むべき3点の予告です。

序論の骨格

特別区では【現状】が進んでいる。これを放置すれば【住民生活・地域社会への影響】が生じるおそれがある。そこで特別区は、【取組①】、【取組②】、【取組③】を進める必要がある。以下、順に述べる。

課題文に書かれている背景を長く写す必要はありません。採点者が知りたいのは、状況を踏まえて何を問題と捉え、どこへ論を進めるかです。序論の最後で3つを予告しておけば、本論の順番が固定され、書きながら迷いにくくなります。

7. 本論:原因1つに、取組1つを対応させる

本論1段落は、原因 → 区の取組 → 実施方法 → 効果の順で書きます。この4つが入れば、280〜300字程度になります。

本論1段落の骨格

第一に、【取組名】である。現在、【原因・障壁】により、【対象者】が【困っている状態】にある。そこで区は、【連携相手】と連携し、【対象者】に対して【具体的な手段】を行う。さらに、【利用しやすくする工夫】を加える。これにより、【原因がどう解消されるか】につながる。

「支援を強化する」「連携を図る」だけでは、取組の名前しか書けていません。誰に、誰と、何を、どの方法で届けるかまで書いて初めて具体策になります。窓口を設けるなら、来庁できない人にどう届けるのか。情報を発信するなら、情報から取り残されやすい人にどう届けるのか。実施場面を一歩先まで考えてください。

また、実在する事業名を暗記していなくても構いません。対象と方法が具体的で、区の権限に収まり、原因に対応していれば論は成立します。曖昧な事業名を無理に書くより、内容を自分の言葉で説明するほうが安全です。

8. 「特別区職員として」の視点を入れる

国や東京都にも通じる一般論だけでは、「特別区職員として」の問いに十分答えられません。各取組に、次のうち1つを入れると、特別区の仕事として読める答案になります。

視点答案への入れ方
住民に近い相談、福祉、子育てなど日常の接点からニーズを把握する
地域差がある人口構成、昼夜間人口、地域資源など各区・地域の実情に合わせる
多様な主体がいる町会・自治会、NPO、学校、商店街、事業者、医療機関等と協働する
区を越える課題がある都や他区、警察、関係機関と情報や好事例を共有する
取り残さない高齢者、障害者、外国人、子育て世帯など届きにくい人への手段を用意する

ただし、「23区で一律に実施する」と書けばよいわけではありません。基礎自治体として地域の実情に合わせる部分と、広域で共有したほうがよい部分を分けることが大切です。たとえば相談は身近な区が担い、区を越えて起きる課題のデータや好事例は都・他区と共有する、という役割分担なら自然です。

区の権限に収める

法律改正、全国一律の税制変更、社会保障制度そのものの改正は、区だけでは実行できません。同じ狙いを区の取組に直すなら、相談体制、情報提供、助成、モデル事業、地域団体への支援、関係機関との協定、人材育成などに置き換えます。国への要望を書く場合も、それだけで3つの取組を埋めず、まず区が自らできることを示してください。

9. 結論:新しい話を出さずに締める

結論は140〜180字で十分です。序論で予告した3点を短くまとめ、区が取り組む意味と、職員としての姿勢を書きます。ここで4つ目の取組を出す必要はありません。

結論の骨格

以上の取組を、地域の実情に応じて着実に進めることが重要である。そのため私は、住民の声を丁寧に捉え、関係機関や地域の多様な主体と協働しながら、誰もが【目指す状態】を実感できる特別区の実現に取り組んでいく。

職員としての決意を長く書きすぎると、根拠のない精神論になります。「熱意を持って全力で取り組む」よりも、住民の声を捉える、関係者と調整する、効果を検証して改善するといった仕事の進め方を示すほうが、本文につながります。

10. 評価を落としやすい答案と直し方

よくある形弱くなる理由直し方
課題文を長く要約する自分の問題設定と取組に使う字数が減る背景は2文以内にして3点を予告する
取組が3つとも啓発同じ原因しか見ていない意識・担い手・仕組みに分ける
原因なしで施策を並べるなぜその取組なのか分からない各段落に原因を1つ置く
「連携する」で止まる役割と実施方法が見えない相手、共有するもの、区の役割を書く
国の仕事を書く特別区職員としての解答にならない相談、助成、協働、基盤整備に置き換える
どの自治体にも通じる特別区を主語にした意味が薄い住民接点、地域差、多様な主体の視点を入れる
結論で新しい施策を出す論のまとまりが崩れる3点の要約と職員の姿勢だけを書く

見直しでは誤字だけでなく、各段落の主語を確認します。「重要である」「必要である」が続き、誰が行うのか分からない文は、「区は」「私は」を補います。選択した課題番号、1,000字の下限、3つの予告と本論の順番も最後に確認してください。

11. どれくらい準備すれば仕上がるか

特別区の論文対策では、1つの予想テーマに1本だけ書いて終わるより、分野ごとに複数の論点を持つほうが本番に対応できます。まずは、子育て・少子化、高齢社会・福祉、防災・防犯、環境・まちづくり、デジタル化、地域コミュニティ・多文化共生の6分野を置きます。

各分野で3本ずつ書けば18本です。週2〜3本なら2か月弱で一周します。ただし、18本をすべて暗記する必要はありません。残すのは、原因・取組・対象者・連携相手の4点です。過去に書いた取組を分野ごとに並べておけば、初めて見る課題でも隣接するテーマから組み替えられます。

練習では毎回80分を確保しなくても構いません。平日は本論1段落を300字で書き、週末に5段落を通して書く。添削後はコメントを読むだけで終わらず、修正した段落を手元に残す。書いた材料が蓄積されて初めて、当日の発想量が減っていきます。

本番で考えるのは、用意した材料をどの順番で使うか。材料そのものは、先に作っておきます。

この記事の型を、実際に使ってみる

原因と取組を、1段落ずつ手元に残す。

公務員論文AI対策ナビでは、分野から問題を選び、自分で書いた答案にAIの添削を受けられます。添削結果だけでなく、自分が書いた原因と施策を分野ごとに残していくことで、本番に使える材料を増やします。

本番で迷う時間を、
準備で減らしておく。

まずは1テーマ、原因と取組3つを決めて書いてみてください。

※ 本記事は合格を保証するものではありません。
試験の実施要領は必ず特別区人事委員会の公式情報をご確認ください。